スギ花粉の飛散
毎年1月にはスギ花粉が観測されています。過敏性が強い人は、1月に目や鼻の花粉症状がでています。飛散開始日(2日続けて花粉が観測)は本県の場合、毎年2月中旬から下旬です。例年、その一週間後に大量飛散しています。今年は飛散量が昨年より多く、平年並みに花粉が飛散します。対策を怠りなく。矢印 花粉情報 2024 スギ花粉
じゃあ、いつ治療始めるの?

今でしょ。症状がでている人は、今から治療を始めればよいのです。1月から症状がでるという過敏性が強い人は、1月から治療を開始して眼結膜や鼻粘膜の過敏性を抑えておかないと、大量飛散したら大変なことになります。同時にこの季節は、花粉をシャットアウトする対策をとり、少しでも花粉に暴露する機会を減らし、体調管理に気を付けましょう。

くしゃみ

現在主に使われている第2世代抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬は、効果発現が早いので、症状発現時もしくは飛散開始時に治療を始めても十分に症状は抑えられます。これが「鼻アレルギー診療ガイドライン」に記されている“初期療法”です。

毎年、花粉症で悩まされている方は、ご自分に合った初期療法ができるように、今からアレルギー薬を処方してもらっておきましょう。矢印 自分でできる対策

また、大量飛散で症状が重症化したら、専門科で重症度に応じた治療を受けましょう。

鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(抜粋)

重症度 初期療法 軽 症 中等症 重症・最重症
病 型 くしゃみ・鼻漏型 鼻閉または充全型 くしゃみ・鼻漏型 鼻閉が主の充全型
治 療 @第2世代抗ヒ薬
A遊離抑制薬
B抗LTs
C抗PGD2・TXA2
DTh2サイトカイン
  阻害薬
E鼻噴霧ステロイド



@〜Eのいずれか
一つ
スギ
@第2世代抗ヒ薬
A遊離抑制薬
B抗LTs
C抗PGD2・TXA2
DTh2サイトカイン
  阻害薬
E鼻噴霧ステロイド



@〜Eのいずれか
一つ
@〜Dのいずれか
に加え、Eを追加
第2世代
抗ヒスタミン薬

鼻噴霧ステロイド
抗LTs薬または
抗PGD2・TXA2

鼻噴霧ステロイド

第2世代抗ヒ薬
もしくは
第2世代抗ヒ薬・
血管収縮薬配合剤

鼻噴霧ステロイド
鼻噴霧ステロイド

第2世代
抗ヒスタミン薬
鼻噴霧用ステロイド薬

抗LTs薬または
抗PGD2・TXA2

第2世代抗ヒ薬

もしくは

鼻噴霧用ステロイド薬

第2世代抗ヒ薬・
血管収縮薬配合剤

オプションとして点鼻
用血管収縮薬を2週間
程度、経口ステロイド
薬を1週間程度用いる
抗IgE抗体
点眼用抗ヒスタミン薬または遊離抑制薬 点眼用抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬
またはステロイド薬
鼻閉型で鼻腔形態異常を伴えば手術
アレルゲン免疫療法 (皮下、スギ舌下免疫)
抗原除去・回避

初期療法はあくまでも本格的花粉飛散に向けた導入であり、重症度に応じたシーズン中の治療に早めに切り替える

遊離抑制薬:ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗LTs薬:抗ロイコトリエン薬

抗PGD2・TXA2薬:抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2

※最適使用推進ガイドラインに則して使用する

(鼻アレルギー診療ガイドライン2020年)

New! 2023年スギ・ヒノキ花粉飛散予測:全国的に例年より多い予想!


アレルギー性鼻炎治療薬(抜粋)

表   アレルギー性鼻炎治療薬

@ケミカルメディエーター遊離抑制薬
インタール、リザベン、ソルファ、アレギサール、ペミラストン
Aケミカルメディエーター受容体拮抗薬
a)ヒスタミンH1受容体拮抗薬 (抗ヒスタミン薬)
第1世代ポララミン、タベジールなど
第2世代ザジテン、アゼプチン、ゼスラン、ニポラジン、レミカット、アレサガ、アレジオン、エバステル、ジルテック、リボスチン、タリオン、アレグラ、アレロック、クラリチン、ザイザル、ディレグラ、ビラノア、デザレックス、ルパフィン
               
b)ロイコトリエン受容体拮抗薬 (抗ロイコトリエン薬)
オノン、シングレア、キプレス
c)プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬
バイナス
BTh2サイトカイン阻害薬
アイピーディー
Cステロイド薬
a)鼻噴霧用:リノコート、フルナーゼ、ナゾネックス、アラミスト、エリザス
b)経口用:ベタメタゾン、セレスタミン
D生物学的製剤
抗IgE抗体:オマリズマブ (ゾレア)
Eその他
非特異的変調療法薬、生物抽出製剤、漢方薬

(鼻アレルギー診療ガイドライン2020より)

アレルギー性結膜炎の診断・治療

上眼瞼結膜から採取した眼脂や眼分泌液からの塗沫標本を染色し、光学顕微鏡観察で好酸球検出されれば、アレルギー性の確率は高い。最近では、涙液総IgE検査が用いられ始めています。

初期療法に抗アレルギー点眼薬を

抗アレルギー点眼薬は全身への移行が少ないため、内服薬に比べ眠気などの副作用を気にせず使える利点があります。最近では、抗ヒスタミン作用とメディエータ遊離抑制作用を併せ持つ点眼薬が増えています

薬剤名(一般名)商品名点眼回数抗ヒスタミン
作用
PH
メディエータ
遊離抑制薬
クロモグリク酸ナトリウムインタール1日4回4.0〜7.0
アンレキサノクスエリックス1日4回6.8〜7.8
ペミロラストカリウムアレギサール
ペミラストン
1日4回7.5〜8.5
トラニラストリザベン
トラメラスト
1日4回7.0〜8.0
イブジラストケタス
アイビナール
1日4回5.5〜7.0
アシタザノラスト水和物ゼペリン1日4回4.5〜6.0
ヒスタミンH1
拮抗薬
ケトチフェンフマル酸塩ザジテン1日4回4.8〜5.8
レボカバスチン塩酸塩リボスチン1日4回6.0〜8.0
オロパタジン塩酸塩パタノール1日4回約7.0
エピナスチン塩酸塩アレジオン1日4回6.7〜7.3

スギ花粉の飛散ピーク時、抗アレルギー点眼薬のみで治療効果が不十分ならステロイド点眼薬を併用します。この際、眼圧上昇、眼感染症の悪化等の副作用が心配です。眼科専門医による定期的な眼圧チェックを受けましょう。

セルフケア

コンタクトレンズ装用者では、アレルギー性結膜炎の症状があるときは装用を中止し、治療を優先しましょう。

眼表面のアレルゲンを洗い流し、眼脂中の好酸球やその顆粒蛋白を除去するため、防腐剤無添加の人工涙液で頻回に洗眼してみましょう。使い切りタイプの人工涙液を冷蔵庫で冷やして点眼するのがお薦めです

コンタクトレンズ装用前後に抗アレルギー点眼薬を点眼し、コンタクトレンズ装用時には防腐剤無添加人工涙液をレンズの上から点眼します。外出時には市販のゴーグル型眼鏡も有用です。 花粉ゴーグル

(参考:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン)


戻る